言わずと知れた名作中の名作。
あらすじをとばして、手元にある本の話からいたします。
もともと実家にあった本で、昭和48年頃母か祖父母が購入したようです。とても日焼けしていますがカバーもちゃんとついています。
この内藤さん翻訳本の第1刷発行は昭和28年。69年前!そのため、今ではあまり使わない言葉がいくつか出てきます。それでも私は、この内藤さん訳書が大好き。
読む人みんなへ優しく語りかける美しく丁寧な日本語がとても心地よいです。
エピソード
この本を初めて読んだのは小学校低学年の時でした。
寝る前に一人、スタンドライトの明かりで読み進め、なんだか不穏な気持ちになりつつも途中でやめれず、最後まで読み終えたのですが、どうにも妙な気分になり隣室の両親のところへ行ったのを覚えています。
当時、ハッピーエンドばかり読んでいた私には、なんとも物悲しいラストが心にずっしり重かったのです。そして、王子さまはどうなってしまったのか?現在も議論の続く謎が、幼い心を支配してなかなか眠れませんでした。
再読して感じたこと
かんじんなことは、目に見えない(p118)
をはじめ、このお話にはたくさんの名言、名シーンがあります。
本を読んでいるのだけど、まるで目の前で自分のためだけに幕が上がり、夢の舞台が行われているかのように引き込まれます。
独特な味のある絵も大好きです。
たくさん好きな部分がある中で、今回再読して特に心に残った言葉を。
めんどうみたあいてには、いつまでも責任があるんだ(p118)
私が8歳の時にはピンとこなかったし、大学でこの本についての講義を受けた時もあまり気にしなかった言葉。
年を重ねた今、心に爪痕を残す言葉でした。
目に見えぬものを愛す一方で現実の関わりにずっと責任を持たねばならない。夢のようなこの童話のなんとシビアなことか。まるで両極端だと感じました。でも、このお話は一貫して子どもの心に寄り添おうとしています。今を生きている子どもにとって、今大切なものは永遠に大切なもの、約束は当然守られるもの。
子どもたちの、この世界への絶対的な信頼を守りたい。そんな作者の想いを感じました。
星の王子さまワールド
星の王子さまは、宝塚でミュージカルになったり、箱根にミュージアムがあったりと色々な楽しみ方ができます。
両方行ったんだけど、もう7年以上前で記憶は怪しく、記録もほとんど残してないのが悔やまれます。
星の王子さまは私にとって特別な一冊。また語りたくなったらブログに書くかもしれません。これからも、大切にしたい物語です。
読んでくださり、ありがとうございました!