自由帳

好きな本やマンガ、音楽についての感想

ママレード・ボーイ 吉住渉作 を読んで

好きな漫画はいくつもありますが、一番好きな漫画は?ときかれたら、

「少女漫画なら『ママレード・ボーイ』、少年漫画なら『スラムダンク』」と答えます。

この2つは、まだ私が漫画好きになる前に出会った、原点のような作品。引っ越しのたびに多くの漫画を手放してきましたが、絶対に残している漫画です。

 

今回は、ママレード・ボーイについて語っていきます。

 

1990年代、りぼん黄金期の大人気作品。アニメ化されると当時の少女たちのみならず、お母さんたちにも大人気になったとか。

親の交換結婚(!!)により、一つ屋根の下で暮らすことになった高校生の光希と遊。

かっこいいけどイジワルな遊の、ときおり見せる優しさに光希は少しずつ惹かれていき…

とても可愛くドラマチックなラブコメディです。

 

私はアニメは観ていないので、漫画の内容のみでお話ししていきます。

ネタバレも含みますので、未読の方、ご注意ください!

 

絵の美しさ

お話ももちろん面白いのですが、なんと言っても絵が綺麗。

買ってもらったのは小学一年生のとき。当時の私はこの漫画の内容を全く知らず、それまで漫画自体欲しいと思ったことはありませんでした。とっても可愛い女の子と男の子が出てくるアニメの存在だけは知っていて。お正月に遠方の祖母の家に行ったとき、何か買ってあげると言われ迷った結果、可愛い絵に惹かれてこの漫画を買ってもらいました。そして既刊本6冊、帰りの車内で2時間以上ずーっと読み続け、少し車酔いしたのを覚えています。

その時は、吉住さんの絵を可愛い!と思うくらいだったのですが、大きくなって見返すと本当に綺麗な絵。人物の顔も体もバランスがとっても良くて、シンプルだけど緻密で正確。惚れ惚れします。特に美人設定の登場人物の美しさときたら!

そして、登場人物の服装もとてもおしゃれなんです。シンプルで無理なく真似できそうな服装が多く、今見てもすごく魅力的なファッションだと思います。

 

光希と茗子

今回は主人公光希と、彼女の親友茗子について考えてみました。

光希は元気で明るく単純な女の子。茗子のことを信頼し何でも相談します。

茗子はとびきりの美人で、優しいけれど自分の話はあまりしないミステリアスな女の子。

中学一年生から親友の二人ですが、高校一年生の冬、茗子が担任の先生と付き合っていることが公になり、そのことがきっかけで友情に亀裂が入ります。

この茗子の秘密の恋を知らされていなかった光希は「親友なのに…」とショックを受けます。茗子は茗子で、大好きな先生に迷惑をかけたことで打ちひしがれ、苛立ちを光希にぶつけてしまいます。茗子に「何でもさらけ出すようなベタベタした友情はいらない」と言われた光希は悲しみのあまり茗子を避けてしまい…

 

ここは読んでいて辛かったです。子どもの頃の私は、友情に対する考え方が光希に近くて。大好きな友達には同じくらい大好きだと思って欲しい、信頼している友達には信頼してもらいたい。好きや信頼って見えないものだから、「一番の友達」という言葉が欲しかったり、大事な秘密を共有したかったりしました。

だから、光希の辛さはよく分かりました。仲違いした後、茗子は光希に大好きだと伝えますが、その直後に先生と駆け落ちしようとします。光希には駆け落ちのこともやはり伝えません。二人の友情の温度差を感じショックを受けました。

だから、そんな茗子のもとに走り、失恋した彼女に寄り添う光希を見て、「茗子ももっと光希を好きになってあげてよ」なんて感じたものです。

 

しかし、二人はこの危機を乗り越え更に絆を強くしていきます。

時は流れ高校三年生に。茗子は、高校一年の時に別れ遠くへ引っ越して行った先生を忘れられないと光希に打ち明けます。光希は会いに行くことを強く勧め、一緒に行ってあげるのです。その後押しのお陰で、茗子と先生は結ばれることになりました。光希、ものすごく良い働きします!

でもここで特筆すべきは、茗子の変化。あんなに秘密主義だった茗子。「友達には自分の全てをさらけ出せない」と言っていた茗子が、心の奥底の誰にも言っていなかったであろう重く深い望みを光希に話したのです。そして人生一大事に付き合ってもらったんです。茗子、光希を心から頼れるようになったんだね、本当に大切な必要な友達ができたんだね、とじんわり感動。

 

そして大学一年生のとき、二人の立場が逆転します。光希が辛い失恋をし更に好きな人と離れ離れになるのです。そして、ここで会いに行くのを勧めるのが茗子!大事な時に背中を押せる関係、いいですね。

しかし、ここからが少し違います。一緒に行こうか、と言う茗子を断り、光希は一人で行くのです。もう結婚している茗子を引っ張り回してはいけないと思ってのこと。

ここで、光希、素敵に成長してるなあと思いました。茗子に心理面で頼りきっていた高校一年生までとは違い、茗子の事情を考えて、一人で辛いことに立ち向かっています。

あの辛い仲違いは、依存や独占欲の潜む幼い友情から、自立した者同士の対等で大人な友情へ変わっていくために必要だったんだな、と思えました。

と、光希をさも「茗子に依存していた子」のように書いてきましたが、作中の光希は依存体質とは程遠い子です。ただ、表に出さない内面で他人に依存することはあるかもしれない。特に若い頃の友情は友達だけど恋に近いような、独占欲や依存がありがちだと思っているので、極論かもしれませんが、語ってみました。

 

色々言っちゃったけど、光希、大好きです!単純単純言われてるけど、愛情深いし口堅いし思いやりがある素敵な女の子。茗子も好き!美人で才能に溢れてて儚げな感じが憧れです。何が言いたいかと言うと、二人の友情が最高にエモいということでした。

 

読んでいただき、ありがとうございました!