自由帳

好きな本やマンガ、音楽についての感想

僕らの夏 村山由佳作 を読んで

おいしいコーヒーのいれ方」シリーズ第2作目です。

前作ラストで、思いを伝え合った勝利(大学新一年生)とかれん(23歳。高校の美術教師。勝利のいとこ)。しかし、ラブラブな生活が始まるかと言うとそんなにうまくは行かず。けんかしたり、同居中の家にかれんの母親が帰ってきたりと、思うようにはいかない両思いの始まり。

もどかしくも甘い恋愛小説です。

見どころ

個人的に今作の見どころを。

不憫な主人公

主人公勝利が不憫!

前作では人望厚くしっかり者で、5歳年上のかれんにつりあおうと背伸びする部分はあれど、かっこ悪いところはほとんど見せていなかったのですが。

年頃男子らしい欲求不満からやらかしてしまい、かれんに口を聞いてもらえなくなったり。かれんとの時間を作るため、酷暑の押し入れに一人で17分間も篭ったのに、その苦しみがほとんど報われなかったり。

コミカルで笑っちゃうけど、気の毒。本気で恋愛するとかっこ悪い時もあるよね。必死な勝利についついエールを送ってしまいます。

ドキドキシーン

勝利とかれんの関係には、あまり進展がありません。が、それでも甘くてドキドキハラハラなシーンはちゃんとあるんです。そのシーンが良い。

進展自体は少ないのに、臨場感あって色っぽくて。村山さん、すごいです。

勝利が感じているかれんの熱や彼女への想いや体の感覚が伝わってきます。

女だけど、勝利と一緒にかれんに恋してるような錯覚に陥りそう。

今後も楽しみです。

 

新しい登場人物

前作に続き、かれんの弟丈や行きつけの喫茶店のマスターはもちろん出てきますが、勝利が大学に入って出会った個性的な面々についてお話しします。

星野りつ子

勝利と同学年。勝利が所属している陸上部のマネージャーをするようになります。

元気いっぱい小動物のような見た目に反して、スプラッタ映画が大好きということが初登場で明かされ、驚きました。物怖じせずサバサバした感じと勘が鋭く揺れ動く女心を持った、かれんとは違う魅力のある子です。私は先の話も読んでいるのですが、今後彼女のことを知れば知るほど、胸がぎゅっと痛くなる子。今作での明るさ可愛さはほっこりします。

原田先輩

陸上部3年生。顔は怖く思い込みも激しいけど心の温かい良い先輩です。

怖く見えて優しい先輩といたいけに見えて強気なりつ子さんのやりとり、好きです。りつ子さんに頭が上がらない先輩が可愛い(笑)

次作以降の話を思うと、先輩みたいな人に出会えたことは、りつ子さんにも勝利にも幸運だったと感じます。

終わりに

勝利が大学生になり、物語の核となる登場人物も増えてきました。

更に奥深くなるおいコーシリーズ。次作を読むのが楽しみです!

読んでくださり、ありがとうございました!