自由帳

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キスまでの距離 村山由佳作 を読んで

「星々の舟」で直木賞を受賞した村山由佳さんの、「おいしいコーヒーのいれ方」シリーズ(おいコーシリーズ)の第1作目です。

 

主人公の高校生勝利は親の転勤のため、いとこのかれん・丈の姉弟と一緒に暮らすようになります。そのうちにかれんに惹かれていく勝利。年の差(かれんが5歳上)など数多くの困難が立ちはだかる恋。どうなっていくのか…

というお話です。

 

私がこの本を初めて読んだのは高校生の時。

夢中になって読み進め、読み終えるとすぐに続きを借りに図書室へ走りました。

胸がキューっとする、爽やかで淡い恋愛小説です。

今回読みながら、当時の気持ちも色々思い出したので、当時と今の両方の感想を織り交ぜて書いていきます。

 

五感で楽しめる文章の力

再読して強く感じたことですが、ものすごく脳内でイメージしやすい文章です。

勝利目線で書かれているので、彼の好きになるかれんがどんなに魅力的なのか、強く伝わってきます。顔や髪型、服装や声、まとう空気まで、驚くほど細かく書かれていて、まるで自分もその場にいるかのようにイメージできます。本当に、めちゃめちゃ可愛いです。当時の私はかれんみたいな人になりたかった…

村山さんの文章の力に驚くのはかれんの描写だけではありません。勝利の作る料理やコーヒーの美味しそうなこと。風景描写の美しいこと。五感で楽しめる小説だと思います。

 

魅力的な登場人物

茶店のマスター

勝利たちが集う喫茶店のマスターは、渋くてかっこよくて男の中の男!という感じです。

こんなマスターのいる喫茶店があれば毎日通いたい!と高校生の私は本気で思ったものです。喫茶店なんて馴染みのなかった当時、友達の知り合いの喫茶店に勇気を出して行ってみたりもしました。もちろん、理想の喫茶店がそう簡単に見つかるはずもなく、今でも私の中で一番素敵な喫茶店はこの本のマスターのいる喫茶店です。

かれんの弟の丈は生意気盛りの中学生。ナイスアシストしてくれたり、背中を押してくれたりする、勝利の良き理解者です。見た目は悪そうだけど、一途で一生懸命で冷静な部分もあり優しい。

当時の私は、そんな丈が大好きでときめきをくれる一番の押しキャラでした。

今の私は、彼の子どもっぽさを可愛く感じます。絶対将来有望!いい男になってね!と見守る親戚気分。時の流れを感じますが、高校生の時抱いたときめきを思い出せたのは楽しかったです。

勝利

主人公の勝利は年齢以上にしっかり者。

当時の私は、年上のかれんに対等に向き合い、彼女の支えになる勝利を、頼もしく感じていました。勝利とかれんの精神年齢は同じくらいなんだから5歳差があっても大丈夫、と思えたのです。

でも今読むと、勝利の必死さや甘え下手の危うさを感じ胸がそわそわしました。

好きな人にかっこ悪いところを見せたくないから、精一杯幼い部分を隠そうとする勝利が愛おしく、いつか勝利が心のままの自分もまるごと認めれるようになればいいなと思います。

 

終わりに

小説のおいコーシリーズは

おいしいコーヒーのいれ方」というシリーズ名で10作、

おいしいコーヒーのいれ方  Second Season」というシリーズ名で9作

出版されていて、完結しています。

続編も読んで、ブログに書いていこうと思います。

漫画にもなっているので、機会があればそちらも読んでみたいです。

 

そして、何年も前に終わったようですが、ラジオドラマにもなっていたんです。

田舎に住んでいた高校生の時、夜中自室で電波を探りながら聴き、カセットテープに録音していました。当時聴いていたラジオはこの番組のみ。思い返せば、ものすごくおいコー大好きだったんだなあ。

声優さんが私のイメージドンピシャで嬉しかったです。音声のみだからこその色っぽさがあり、ドッキドキしながら聴いていたのを思い出しました。懐かしい。また聴きたい…

 

 

 

以上、高校生の時の私がどハマりした、おいコーシリーズ第1作目「キスまでの距離」の感想でした。

読んでくださり、ありがとうございました!